9月末、NHKをはじめ、新聞各社等のマスメディアは、東京ガスと格安SIM事業者FREETELが提携を行い、11月より格安スマホ事業に参入するという驚きのニュースを報じました。
一元的な契約でコストメリットを!
報道によれば東京ガスは首都圏にある200の代理店を活用し、今年11月から店頭や訪問した契約者の自宅などで販売をするとしています。東京ガスは、今年4月より開始した、電力自由化による、ガスと家庭向けの電気とのセット割引を行っており、このメニューに格安スマホを加えた新たな料金プランの導入も検討しているということです。auが「auでんき」、ソフトバンクが「ソフトバンクでんき」を提供している実績はあるものの、インフラ事業者が通信回線に進出することは極めて珍しいことではないでしょうか。
来年4月には、家庭向け都市ガスの小売り自由化も始まります。電気同様、キャリアのガス小売りも考えられるため、その前に、利用者の囲い込みを行うことが目的ではないかと考えられます。ガス、電力、携帯代金を一括契約にまとめることで割引を行うなどの施策が行われるでしょう。また、絶対的な利用者数と販売店網を持つインフラ事業者ならば、数の論理で強い営業力を発揮することもできるでしょう。
未だ、東京ガス提供の格安スマホ事業に関するサービス内容や販売する機種についての詳しい情報は発表されておらず、FREETELを運営するプラスワン・マーケティングも沈黙を守ったままです。スタートする日程が決定した際におこなうものと見られており、その実態の詳細を知るにはまだ時間がかかりそうですが、格安SIM、格安スマホの台風の目になる可能性があります。
本当にうまくいく?
異業種と格安SIMのコラボとしては、郵便局とIIJ mioが挙げられます。すでに一部の郵便局では、IIJ mioの契約が可能で、後日自宅にスマホセットが届くようなビジネスモデルになっています。若者だけでなく、中高年ユーザにも格安SIMを利用してもらうため、安心感や利便性という点で一定の効果を生んでいるようです。
しかし、この場合は、あくまで消費者が店舗に来る応販。今回の東京ガスは、担当者が消費者の家を訪れる訪販となります。当然、一定の説明を行う必要もあり、社員教育コストやトラブルのリスクを考えると、少々疑問を感じるのも事実です。
とはいえ、こうしたコラボが流行すれば、また競争が活発化し、サービスの多様化も望めます。まずは期待したいところです。