4月末、NTTドコモは、決算会見において新たな新料金プラン「シンプルプラン」を発表しました。格安SIM対策を鮮明に打ち出してきたものです。
月額980円、無料通話は家族間だけ!
これまで、NTTドコモのスマホ向け料金プランでは、月額2,700円で音声通話が何回、何分でもかけ放題の「カケホーダイプラン」、もしくは、月額1,700円で1回5分までの通話が無料となる「カケホーダイライトプラン」のふたつだけが、事実上の選択肢でした。しかし、LINEを筆頭とするコミュニケーションアプリの台頭もあり、特に若者における音声通話の利用頻度は減少しています。そのため、定額音声通話がオプション扱いの格安SIMは利用者によっては非常に魅力的なものでした。
今回の新プランでは、無料通話はありませんが、月額980円で音声通話が利用できるものです。音声通話利用時は30秒20円の料金がかかりますが、家族間の通話は無料です。
これにより、NTTドコモ利用者でも、従量音声通話プランを選択できるため、通話をあまりしない利用者の場合、月額料金を減らすことができます。
ただし、このプランは単独では契約できず、家族と複数回線でデータ通信量を分け合って使う「シェアパック」と組み合わせる必要があります。NTTドコモ含む大手キャリアは家族丸ごとでの抱え込みを強化しており、家族数人で利用し、かつ光回線「ドコモ光」など各種施策を組み合わせた場合は、格安SIMよりも低価格となる場合があります。NTTの強調したいのはこの部分かと考えられます。
条件によるものの、お得なのは間違いありませんが、長期契約が複数回線にわたるため、なかなか格安SIMのように身軽な対応は取れなくなるのも事実。自身、家族の利用形態を踏まえ、慎重に検討したほうがよさそうです。
背景には格安SIMの台頭
これまで、このシンプルプランは利用者から一定の需要がありました。ドコモがようやく重い腰を上げた背景には、格安SIMの台頭があります。
かつての格安SIMは、「一部のマニア向け」でしたが、現在はCMも頻繁に打たれ、新たな選択肢として消費者に受け入れられつつあります。特に、ワイモバイルの成長は目覚ましいものがあり、「ドコモユーザーだった人が、初めてのスマホを持ちたいと思った際、ワイモバイルを選び、MNPで流出する状況が続いている」とのコメントもありました。
ドコモも、10カ月契約が前提とはいえ一括648円で購入可能なスマホ「MONO」の発売開始、低容量プラン+カケホーダイライトの契約解禁など、各種施策を実施してきたものの、より劇的なかじ取りを行ってきたと考えられます。