2015年7月15日、NTTドコモは、現状の料金プランが「2年縛り」で常態化していることについて、総務省から問題視する声が出ていることをうけ、「1年契約」のような中間メニューを新たに設ける予定を固めました。
1年契約など、中間メニューの策定に
総務省では、有識者による「ICTサービス 安心・安全研究会」という会議を設けており、通信サービスに対して消費者の不利益になるものを改善するための議論を進めています 。2014年にはクーリングオフ(初期契約解除ルール)の導入を決めた実績があります。
現状、3大キャリアの契約プランは、2年間の継続利用が事実上必須となっており、それ以下での解約には違約金の発生や、端末の割引が途中終了するなどのデメリットがあるため、キャリア間やMVNOへの移行についても、2年契約の満了後に行うのが当たり前になっていました。また、2年以上契約を満了しても、解約金が発生せずに解約・移行できる期間は一か月しかないことも、消費者からのクレームに直結していたようです。
キャリアとしては長期間利用者を囲いたいのは当然であるため、こうした契約期間を設けることはある程度やむを得ない商習慣ととられていたのですが、今回、冒頭のICTサービス 安心・安全研究会にて、2年契約の常態化と違約金、解約可能期間の短さについて議論が行われました。
結局、議論は平行線のまま終わったそうですが、NTTドコモは、消費者保護の重要性を鑑みて、自主的に改善に向けたメニューを率先して導入する方針を発表しました。詳細は現状不明ですが、拘束期間を短くしたり、違約金を安くしたりするなど、中間メニューの追加が有力とみられています。
他キャリアも追随する可能性が高い
NTTドコモが今回、自主的に動いたことで、3大キャリアの他2社、KDDI(au)、ソフトバンクも追随する可能性が高いと考えられます。
何だかんだ言っても、日本の携帯電話事業におけるパイオニアであるドコモの影響力は強く、以前の「通話料定額プラン」についても、ドコモの発表から他2社が追随する形でした。「Yahoo!BB」で、固定ブロードバンド回線の価格破壊を実現したソフトバンクですが、携帯電話事業参入当時の価格破壊っぷりはすでに見る影もないほどなりを潜めています。現状、3大キャリアの料金、サービスが横並びで、差異化されていないことも、MVNOサービスの利用拡大につながっていることは間違いないでしょう。
SIMフリー化により、他通信事業者への移転防止が重要性を増しており、特に短期解約者への違約金は高騰し続けていました。そんな中でのこうした流れは素直に感心できるものであり、NTTドコモの英断は称賛されるべきものと思われます。