12月上旬、「総務省が、スマートフォンなど携帯電話の通信料金を引き下げるため、電気通信事業法に基づく指針を定めて、携帯大手3社に見直しを求める方針を固めた」との報道がなされました。通信料金の低減を求めてのことですが、これはどういうことなのでしょうか?
「実質0円」「一括0円」何が違う?
今回の報道では、「実質0円」など携帯端末の行き過ぎた値引き販売を認めず、その代わりに通信料金の値下げに充てることを指針に盛り込むとされています。
一般の利用者には聞きなれない言葉ですが、「実質0円」とは、端末には売価が設定されているものの、長期契約を前提に、月々一定額が割引きとして相殺され、最終的に端末代金が0円となることを言います。ドコモは「月々サポート」、auは「毎月割」、ソフトバンクは「月月割」という名称で、割引きが行われています。
これに対し、「一括0円」とは、正真正銘端末代金がゼロとなっている契約のことを言います。型落ちの機種や、戦略的にキャッシュバックが高く設定された機種、あるいはMNP(モバイルナンバーポータビリティ)を適用した際に一括0円となることがあります。端末料金がかからないにも関わらず、前述の割引を受けられるケースがあるため、実質的な利用料はさらに安くなります。
何か問題があるの?
両者とも、2年程度の長期契約が前提となっているため、一度契約すると容易に解約ができません。また、最近では、動画や音楽などの有料オプションを契約することを強制されるケースも増えてきており、問題になっています。
また、こうした割引では、端末を頻繁に変える利用者が得をするケースも多々生まれています。そもそもこうした販売促進の原資となっているのは、長期契約者やあまり使用しないライトユーザであり、適正な形ではないとの指摘もありました。
今後、総務省は新法の制定や法改正ではなく、指針を2016年2月にも定めることで、携帯3社に16年の春商戦から適用させることを目指すとしています。法的拘束力が無い以上どれだけの影響があるかはわかりませんが、これまでの経緯を見るに一定の対応はされるものと思われます。
MVNO利用者にはあまり関係ないような気がしますが、こうした施策により、キャリア端末の取得価格が上昇すれば、MVNOで利用する端末の高額化も考えられます。SIMフリースマートフォンも、ようやく広がりを見せてきましたが、全体で見ればまだまだというところ。やはり、中古市場・白ロムなどから生まれるキャリア端末の影響は非常に大きいです。今回の施策が悪い方向に行かないところを祈るばかりです。