伸び続ける格安SIM市場で、強い存在感を示しているのが、KDDI系の「UQ mobile」とソフトバンク系の「Y!mobile」。この2社のCMを見ない日はないと言ってもいいくらいでしょう。しかし、この2社には、ある疑惑が発生し、格安SIMサービスを展開する他事業者(MVNO)からは不満が噴出しています。
直系を優遇?不満が噴出!
利用者としては有り難いことなのですが、こうした特定MVNOの優遇に対し、競合他社からは不満が頻出しています。総務省が開催する有識者会議でも、「mineo」をサービス展開するケイ・オプティコムから、優遇状態についての厳しい指摘がありました。
こうした事態を受け、総務省は2017年1月中旬までMVNOへのアンケートを行い、1月下旬から2月中旬には主要MVNOへの聞き取り調査も実施しました。やはり不満は多かったようで、
「契約数が大幅に増えているにもかかわらず、実効速度が落ちておらず、不当な差別的取り扱いがあるのではないか」という具体的な抗議があったようです。
サブブランド化は問題?
Y!mobileについては、そもそもサービス提供会社が同じソフトバンクなので「不当な差別的取り扱い」という言葉自体が当てはまりません。最近ではソフトバンク回線を利用した格安SIMサービスも増え始めましたが、知る人ぞ知るという認知度なのが正直なところです。
UQ mobileも、KDDIがその気になれば、事業を買収してサブブランド展開することは容易でしょう。この場合は、ソフトバンク同様、何の問題もなくなってしまいます。
最大勢力であるNTTドコモが、サブブランドにあたるサービスを提供していないため、今のところ本件は局所的な問題に留まっています。利用者は質の高いサービスを受けられるばかりなのですが、歪んだ競争のしわ寄せはいつか消費者に還ってきます。今後の状況に注目です。