2016年の格安SIM業界シェア&2017年大予測



graph規模の大小、本業の業種を問わず、多種多様な企業が参入し、群雄割拠の時代を迎えた格安SIM。当初は低価格・低通信量の一辺倒でしたが、各社趣向をこらしたサービス展開を行い、大手キャリアにも劣らないサービスを提供する事業者も出てきました。本記事では、現在、どの事業者が支持を集め、またこの先集めていくかを分析・予想します。


楽天モバイルが一年で首位奪取!

IT系のマーケティング、市場調査を行っているICT総研では、定期的に格安SIMにおけるシェア調査を行っており、本記事はその調査結果を参考にしています。まずは、シェア状況を見てみましょう。

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昨年は「その他」扱いであった楽天モバイルが、首位であったOCNモバイルONEを抜き去り、0.5ポイント差をつけて一気にトップに立っているのがわかります。他社調査ではOCNモバイルONEが首位、楽天が時点や3位のものもありますが、いずれにせよトップクラスのシェアを集めているのは間違いないでしょう。

楽天がここまで伸びた理由としては、通話料が半額になるアプリ「楽天でんわ」や、定額かけ放題プラン「電話かけ放題」など、キャリア並みの充実したオプション提供が大きなものでしょう。また、定期的に端末の格安販売を行っていることも大きな要因と言えます。楽天市場で培った商売力と、値引き販売を行える体力は、中小事業者には太刀打ちできない要素です。

首位こそ奪われたものの、安定して強いのが2位のOCN。また、3位のIIJも、格安SIM登場当初から安定してシェア上位にいます。4位のBiglobe含め、このグループはプロバイダ事業で名を残す企業であり、いずれも屈指のブランド力があります。IIJは聞いたことがない方も多いと思いますが、IT系法人では有名なISP事業者です。「料金を安くしたいけど、安かろう悪かろうは困る」というニーズに上手く当てはまっていると言えるでしょう。

また、見逃せないのはmineo。2015年時点では楽天と同様「その他」扱いでしたが、2016年調査では9%のシェアを獲得しています。ベッキー、有吉弘行などの人気タレントを起用し、積極的なプロモーションを行っているほか、ドコモ、au両キャリアのプランを提供するなどの独自性が受けたものと思われます。ユーザーサイト「マイネ王」が盛り上がりを見せるなど、遊び心もあり、若者を中心に今後も人気を集めるでしょう。

 

2017年の格安SIMはどうなる?! 

まず、2015年から2016年にかけて驚異的なシェア拡大を達成した楽天モバイルは、この勢いを持続し、さらにシェアを拡大することが予想されます。2017年には圧倒的なシェアNo.1になる可能性も高いでしょう。

2016年の調査ではトップグループに入れませんでしたが、DMM.mobileも今後伸びてくると考えられます。山下智久を起用したCMの大量OA効果も期待できますが、何よりも常に業界最低水準を維持し続ける価格は訴求効果が極めて高いです。本業のDMM.comも急成長を続けており、相乗効果も期待できるでしょう。

そして、最大の注目はLINE MOBILE。今や必須アプリともいえるLINEが打ち出す格安SIMは、相当のインパクトを市場に与えると考えられます。全貌はいまだ公開されていませんが、現在格安SIMでは利用できない「ID検索」が利用可能になること、またLINEに関連する通信料が不要になることが発表されています。、国内で利用者が多いTwitterやFacebook利用時の通信料がかからないプランや、「LINE MUSIC」などの音楽サービスを利用する際の通信料金がかからないプランなども予定されているということで、サービスの独創性も充分です。LINE MOBILEが登場早々シェアトップ5に食い込むことは、十分あり得ることだと考えられます。

サービスの多様化と競争の激化は、利用者にとって嬉しいことですが、混乱を生む要因にもなります。自分にベストな格安SIMを選択することは、年々重要度が高くなっていくものと考えられます。